ライソゾーム病について

ライソゾーム病とは

細胞内にはいろいろな役割をもった“小器官”と呼ばれる構造物があります。その中で、体内のいらなくなった物質(老廃物)を取り込んで分解し、掃除する役割を担っているのがライソゾームです。
ライソゾームの中には何種類もの「酵素」と呼ばれるタンパク質が含まれていて、それぞれが体内の特定の脂質や糖質などを分解しています。酵素をつくる遺伝子に何らかの変化が起こると、正常な酵素がつくられなくなります。このライソゾーム内の「酵素」がつくられなくなったり、働きが弱くなったりして、本来は分解されるはずのいらなくなった脂質や糖質などが、体中の細胞内にたまることによって引き起こされる病気を総称して「ライソゾーム病」と呼んでいます。

ムコ多糖症Ⅱ型ってどんな病気なの?教えてムコタ先生!

ライソゾームは、体内の老廃物を分解する役割を担っています。

50種類以上のライソゾーム病が知られています

ライソゾーム病は足りない「酵素」の種類によって病気の名前が異なり、それぞれの病気で症状の現れ方や進行の仕方が異なります。ライソゾーム病はまれな病気で、10~20万人に1人くらいの頻度ですが、これも病気によって異なります*1。ライソゾーム病は国の社会保障制度で指定難病や小児慢性特定疾病(18歳未満)に指定され、医療費助成制度等の対象となっています。

*1 難病情報センター. (2022年3月現在)

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現在、50種類以上の病気がライソゾーム病として知られており*2、主なライソゾーム病としてムコ多糖症、ゴーシェ病、ファブリー病、ポンペ病などがあります。

*2 ライソゾーム病―最新の病態、診断、治療の進歩―.衞藤義勝編. 診断と治療社. 2011;p2.

ムコ多糖症

ムコ多糖(グリコサミノグリカン:GAG)という物質がうまく分解されず、体にたまることで全身にさまざまな症状が現れる病気です。ムコ多糖症は、分解する酵素の違いによって、ムコ多糖症Ⅱ型など7つの型に分類されています。

ゴーシェ病

グルコセレブロシダーゼという酵素がうまく働かないことで、グルコセレブロシドという物質が分解されにくくなり、肝臓や脾臓、骨髄などにたまる病気です。

ファブリー病

α-ガラクトシダーゼという酵素がうまく働かないことで、グロボトリアオシルセラミドという物質が分解されにくくなり、全身にたまる病気です。

ポンペ病(糖原病Ⅱ型)

酸性α-グルコシダーゼという酵素がうまく働かないことで、グリコーゲンという物質が分解されにくくなり、主に筋肉の細胞にたまる病気です。

さまざまな症状が全身に現れます

ライソゾーム病の症状はさまざまで、骨や関節、神経、心臓、肝臓、眼、皮膚など全身のいろいろな所に現れる可能性があります。どの遺伝子に異常があるのか、どの酵素の働きが悪いのかによって、現れる症状や時期、重症度に違いが生じてきます。
通常は、細胞内に不要なものがたまることで乳幼児期に症状が現れ始め、次第に進行していきますが、成人するまで症状が目立たない場合もあります。

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ムコ多糖症の特徴や症状については
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