拡大新生児マススクリーニングとは?
新生児マススクリーニングって、何ですか? 教えてムコタ先生!
生まれつきの病気を、いち早く発見するための検査なんじゃよ
新生児マススクリーニングの目的1,2)
赤ちゃんの中には、生まれつき体内の特定の酵素がなかったり、ホルモンの異常がみられることがあり、適切な治療をしないと知能障害や発育障害などを引き起こすことがあります。
しかし、こうした先天性の病気は、早期の発見と治療開始によって、障害の発生するリスクを低減することが期待できます。新生児マススクリーニングとは、これらの病気をいち早く見つけることを目的とした、厚生労働省の指導により各自治体が中心となって、産まれてきたすべての赤ちゃんを対象に行われている検査です。

新生児マススクリーニングと拡大新生児マススクリーニング3)
新生児マススクリーニングは、20種類の先天性異常症について検査が行われていますが、最近では、新生児マススクリーニングの追加検査にあたる“拡大新生児マススクリーニング(拡大マススクリーニング)”を受けることができます。
拡大マススクリーニングとは、ムコ多糖症Ⅱ型など、これまで新生児マススクリーニング検査に含まれていなかった先天的な病気を見つけるための検査です。

拡大マススクリーニングで見つかる病気は…
拡大マススクリーニングでは、新生児マススクリーニングの対象ではなかった新たな病気の可能性を調べることができます。これらの病気は、医学の進歩に伴い検査の精度が向上し、治療の面でも選択肢が広がっています。
対象疾患
- ライソゾーム病(ファブリー病、ムコ多糖症Ⅰ型・Ⅱ型、ポンペ病など)※
- 脊髄性筋萎縮症(SMA)
- 重症複合免疫不全症(SCID)などの原発性免疫不全症(PID)
- B細胞欠損症
※拡大マススクリーニングとライソゾーム病
ライソゾーム病は、生まれつき、細胞の中で老廃物を分解するために働く“ライソゾーム”内の酵素がなかったり、その働きが弱かったりするために起こる病気の総称です。ライソゾーム病にはさまざまな病気が含まれていますが、現在はファブリー病、ムコ多糖症Ⅰ型・Ⅱ型、ポンペ病などが拡大マスクリーニングの対象となっています。これらは希少疾患で症状も多様であるために、診断が確定するまでに時間がかかり、治療しないままでいると症状が進行し、さまざまな障害が残ることがあることから、早期発見・治療が重要といわれています。

検査のしくみ4)
検査のしくみは、運営機関(主に自治体)、保護者への説明と採血を行う産科医療機関等、検査を行う検査施設、精密検査と診断及び治療を行う大学病院等の専門施設との緊密な連携と協力体制のもとに行われています。希望する方は自己負担で検査を受けることができますが、自治体によっては無料であったり、助成金を受けられたりする場合があります。

検査の流れ3,4)
拡大マススクリーニングは、新生児マススクリーニングと同じタイミングで、採血→検査→結果報告と、同じように行われます。
1.採血
産科医療機関等において、生後4~6日目の赤ちゃんのかかとから少量の血液を採取し、専用のろ紙に染みこませて専用封筒で検査施設へ郵送されます。

2.検査
郵送された検体は検査機関で検査を行い、 1~2週間ほどで検査結果が産科医療機関へ報告されます。

3.結果
病気を持つ新生児を見逃さないように、検査結果を 「1. 正常」「2. 再検査」「3. 要精査(病院での精密検査が必要)」の3段階に分けて判定しています。検査後、病気の疑いがなければ“正常”と、通常1ヵ月健診で保護者に結果が伝えられますが、病気が疑われる場合は、健診前に結果が連絡されます。

再検査になったら
再検査は最初の検査をもう一度受けることです。再検査はできるだけ早く受けることが望ましいので、出産された医療機関の指示に従ってください。赤ちゃんの様子に気になることがあれば、出産された医療機関に相談してください。再検査で正常と判断されれば心配はありません。
要精査になったら
「要精査」とは、より詳しい検査が必要という意味です。「要精査」と判定されても、その時点で病気が確定したわけではありません。できるだけ早く詳しい検査を受けた方がよいので、出産された医療機関の指示に従って、専門医療機関を受診し、本当に病気かどうかを詳しく調べます。検査内容としては、尿検査や血液検査、遺伝子検査を行うことがあります。要精査であっても、精密検査の結果「異常なし」と判断される場合も少なくありません。
拡大マススクリーニング検査 Q&A3,5)
誰でも受けられる検査ですか?
拡大新生児スクリーニングを受けるためには、検査を実施している医療機関に申し込む必要があります。検査を検討している場合は、お住まいの自治体または産科医療機関に直接問い合わせましょう。
検査費用はかかるのですか?
拡大マススクリーニングは、自治体によって無料であったり、助成金を受けられたりする場合がありますので、詳しくは出産予定の産科医療機関へお問い合わせください。
要精査とは、病気ということですか?
“拡大マススクリーニング陽性、イコール病気の確定”ではありませんが、“病気の可能性がある”という判定だった場合はできるだけ早く精密検査を受けることが大切です。精密検査の結果、実は病気ではなかったり(偽陽性)、診断が確定してもほとんど症状が現れない“軽症例”となる場合もあります。
拡大スクリーニングを受けることの大切さ
ムコ多糖症Ⅱ型など、拡大マススクリーニングでみつかる病気は、早期発見・治療により症状の進行を抑制できる可能性があります。
症状の進行が抑えられ、その後の経過が良好になることや、病気によっては適切な治療により予後の改善が期待される場合があることから、拡大マススクリーニング検査を受けることの意義は大きいと考えられます。

“教えて ムコタ先生”では、みんなの声/医療関係者の声として、“拡大マススクリーニングで陽性と言われたとき、不安と向き合うご家族へのメッセージ”として、国立成育医療研究センター看護部の津島副看護師長のお話を紹介しています。ご一読ください。

引用
1)新生児マススクリーニングの説明書-mhlw.go.jp
2)【資料1-4】新生児マススクリーニングについて – こども家庭庁
3)新生児の健診|公益財団法人東京都予防医学協会「元気で長生き」をめざす皆さんをサポートしています。
4)東京都先天性代謝異常等検査実施要綱
5)保護者の方へ(新生児マススクリーニング) | 国立成育医療研究センター